2017年9月5日火曜日

AIの活用

以前、本データサイエンティストブログ「AI:機械学習とディープラーニング」で触れましたが、ここ最近メディアにおいてAIについて目にしない日がありません。

機械学習の分野では、自動的に膨大なデータから反復的に学習を行い、「答え」となる出力結果を得ますが、出力結果の根拠、すなわち「どのような条件のときに、どのような答えが出力されるのか」ということを人間が理解することはできません。

AI(人工知能)とは、人工的に人間同様の知能をコンピュータなどで実現するものであり、現在多くの手法について研究されているところです。

では実社会の中でAIはどのような場面で活用することになるのでしょうか。2つの局面で考えてみました。

AIの活用シーン

1.人の代わりをする、あるいは人をサポートする
人が行けないような場所で自律的に機械(コンピュータ)が判断して適切な行動を行うケース。
災害現場などで行方不明者を探す際、人間の指示なく機械自身が判断して行う場合など。
その他、医療機関での初期診断など、ある程度人の知見が活かされるような場面が考えられます。

上記は、未知の事象は存在するものの一定の知見(過去の経験)があり対応方法がプログラムできる場合に適用でき、ある程度正解が分かっており何故そうなるのかを人が判断しやすい場合に適しています。

2.人が知り得ていない(法則などに気づいていない)未知な事象への活用
これにはマーケティングが考えられます。膨大な消費者の購買行動について同じ購買性向をもった消費者を分類し、購買確度の高い商品をレコメンドするといたったもので、消費者の行動を常に分析し時間的経過による変化を的確にとらえシステムに反映するなど、人が正解を知らない場合や認識できない場合などに活用でき、手法としては機械学習が適しています。

今後、徐々に活用事例や適した手法が明らかになってくるのではないでしょうか。


ところで最近ダイアモンドオンラインで面白い記事を見つけましたのでご紹介したいと思います。
そのタイトルがなかなか衝撃的で、“夫の捨て方”を問うと諭してくれる、横浜市「ゴミ分別AI」の優しさ
というもので、気になって実際に横浜市のHPを以下のとおりご紹介します。

横浜市資源循環局のサイトで、「イーオのごみ分別案内」というコーナーがあります。
これは、NTTドコモ×横浜市共同実証実験 “チャットボット”を活用した「イーオのごみ分別案内」として公開されているものです。

使い方は簡単、捨てたいものを入力するとその捨て方などを答えてくれるシステムなのです。
例えば冷蔵庫のような家電リサイクルの対象であれば、
「捨てたいものが、冷蔵庫なら、捨て方は、家電リサイクルだよ。出し方の詳細は、こちら を参照してね。」
などと、具体的に入力した廃棄物名も記載して案内します。

また、掃除機のような粗大ごみの場合は、
「捨てたいものが、掃除機なら、捨て方は、粗大ごみだよ。各パーツ(ホース・ノズル等)が50㎝未満になるものは燃やすごみへ。 粗大ごみの捨て方の詳細はこちら。」
というように案内してくれます。

また、記事に紹介のとおり実際にやってみました。
以下、入力と回答はLINE風に対話形式になっています。

【入力】
「旦那」(※因みに、奥さんでも同じ答えでした)

【回答】
本当に‼「人間は判断力の欠如によって結婚し、忍耐力の欠如によって離婚し、記憶力の欠如によって再婚する」ってアルマン・サラクルーは言っていたよ。忍耐力を鍛えてみたら、どうかな。

【入力】
最初の入力が「旦那」の場合は、続けて「奥さん」と入力

【回答】
 (´Д⊂グスン 」 や 。・゚・(ノД`)・゚・。シクシク

実際に何回か、「旦那」や「奥さん」と入力してみると、常にアルマン・サラクルー(※1)を引用するとは限らないようです。

【入力】
「人生」

【回答】
本当に捨てちゃうの?「同じこと考えても朝の3時と翌日の3時とじゃ答えがちがってくるね…」とスヌーピーが言っていたよ。今日は寝て、明日もう一度考えてみようか。

といった感じです。なかなか秀逸な回答ですね。

このシステムは、横浜市のホームページによりますと、

―――――― 引用ここから ―――――――――――

NTTドコモ×横浜市共同実証実験
チャットボット”を活用した「イーオのごみ分別案内」を公開
~ドコモのAI技術と横浜市の2万語に及ぶ検索データが強力タッグ!~

 横浜市資源循環局は、AI技術を使い、ごみの出し方を対話形式で案内する「イーオのごみ分別案内」の実証実験を、株式会社NTTドコモと共同で行います。
 システム上で、イーオに調べたいごみの品目を話しかけると、イーオが分別品目や出し方を答えてくれます。
 実証実験を通じて、より分かりやすい案内の可能性を探るとともに、検索に不慣れな方やスマートフォンなどを使ったコミュニケーションになれた若年層などにも、興味をもってもらうきっかけとなることを目指します。

特徴
・横浜市の分別検索システム(ミクショナリー)で培った2万語以上に対する分別方法、雑学やクイズなどを案内します。
・NTTドコモの言語処理のノウハウを生かして会話形式の様々な表現にも対応します。
・チャット形式に再構成しスムーズに知りたい情報が得られることが期待されます。

公開期間
当初は平成29年6月末までの予定でしたが好評につき、実証期間を延長します!

―――――― 引用ここまで ―――――――――――

と案内されています。みなさん試してみられたらいかがでしょうか。

このプロジェクトは、既存のデータ分析を行うとともに担当者が一部の質問と回答を考えハイブリッド化してできたシステムであるようです。

AIの活用範囲はこのような実験的なものを含め、今後、益々増えていくのではないでしょうか。
各方面で活躍が期待できるAIですが、重要なことは「機械に何を学習させるか」ということではないでしょうか。
AI導入は増加していくと思いますが、AIの内、機械学習ではなぜそのような結果になったかを説明することはできません。
ということは、間違った答えを出されても、学習データが足らないのか、学習させたデータの質が悪いのかの判断がつかないのです。そもそも間違った答えが出ているのかさえ分からないことも考えられます。

商取引の場合はコストとのバランスの問題で、費用対コストが見合えば導入することができます。
しかし、人の命にかかわる場合は単純に導入できるものではないと思います。導入するにしてもリスクの軽減や回避策を考えて導入する必要があると思います。

それぞれの手法の特徴をよく考えて、何を解決するために導入するのかが重要であると思います。
そしてそれが可能なのは人間なのです。人に適材適所があるようにAIにも適材適所があり、組み合わせや起こりうるリスクを考えたうえで導入することが必要ではないでしょうか。

でも、これらのリスクや最適化までもAIに頼る(実現できる)ことになるのでしょうか。
これからの展開に注目です。


※1.アルマン・カミーユ・サラクルー(Armand Camille Salacrou、1899年8月9日 - 1989年11月25日)は、フランスの劇作家。
代表作『アラスの見知らぬ女 (Inconnue d'Arras)』や『デュラン大通り (Boulevard Durand)』などで知られる。
(ウィキペディアより)

データサイエンス部  奥村(株式会社アイズファクトリー